idea notes

備忘録のようなもの。たまに気が向いたときに書きます。

イメージと実態

TwitterでThe Economistの公式アカウント(@TheEconomist)をフォローするようになって、Daily Chartというセクションが同誌のサイトにあるのに気づいた。日替わりでさまざまなテーマのチャートやインフォグラフィックスを掲載していく企画である。分かりやすく基本情報がまとめられている上、着眼点が面白かったりして、「気づき」を与えてくれる。

例えばこちら。主要ファストフードチェーンの国際展開を示したものだ。


Daily chart: Fast-food nations | The Economist

日本や欧州諸国ではマクドナルドの店舗数が一番多いが、米国やロシア、インドではサブウェイの店舗数が最も多く、中国や東南アジア・エジプトやアフリカ南部ではケンタッキーフライドチキン、サウジアラビアやUAEではピザハットが優勢なのが分かる。

国による人気チェーン店の違いには、おそらく食習慣も影響しているのだろう。ヴェジタリアンでも大丈夫そうなのはサブウェイだし、豚肉がNGであったりチキンをよく食べる地域ではケンタッキーフライドチキンのほうが出店しやすそうだ。

私自身の経験とも合致するな、とインフォグラフィックスを見ながら思った。米国やインドから出張で日本に来る人の中にはヴェジタリアンがそれなりに存在するが、そういう人はたしかにサブウェイで昼ご飯を買っていたなと。また、日本にしばしば出張で来ていた米国人(ムスリム)の同僚はケンタッキーフライドチキンによく出かけていた。ハラル認証はついていないものの、誤って豚肉メニューを注文することはないからだ。出張で日本に来たインド人(ヴェジタリアンのヒンズー教徒)とパキスタン人(ムスリム)の同僚と昼ご飯を食べるときに、マルゲリータピザを注文して好評だったこともあった。

また、こちらは欧州におけるムスリムの住民に関するインフォグラフィックス。


Daily chart: Islam in Europe | The Economist

各国の実際のムスリム人口(推計)と、人びとが思っている人口に占めるムスリムの割合の差が示されている。例えばフランスの人口に占めるムスリムの割合は実際には8パーセントなのに対し、同国の人びとは人口の3割ぐらいがムスリム、という印象を持っている。また、ベルギーでは実際には6パーセントがムスリムだが、人びとは人口の29%ぐらいがムスリムという印象を持っている。数値はまちまちだが、他のヨーロッパ諸国でもイメージと実態の間には乖離が見られる。こうした乖離は、宗教をめぐる緊張の大きさによって生じているのだろうか。

そして、この記事を書いている時点での最新のチャートはこちら。


Ebola in graphics: The toll of a tragedy | The Economist

エボラ出血熱の感染者と犠牲者に関するインフォグラフィックスと関連するグラフである。主な感染地域が、人口10万人当たりの医師の数が少なく(スペインが370人なのに対し、シエラレオネは2人強、リベリアは1人強)、1人あたりの医療費も非常に限られていることが分かる。2013年の暮れにギニアの小さな村で始まったらしい今回のエボラ出血熱の流行が、これだけ急激かつ広範囲に広がってしまうとは誰も想像していなかったと思うが、その理由の1つが医療制度の不備であったことを教えてくれる。


エボラ出血熱、西アフリカでの流行に至った「最初の感染源」とは(研究結果)